各種製法の説明

日本薬局方「製剤各条」の中で薬局製剤に関与する項目をまとめました。

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カプセル剤

(1) カプセル剤は,経口投与する,カプセルに充塡又はカプセル基剤で被包成形した製剤である.
本剤には,硬カプセル剤及び軟カプセル剤がある.

(2) 本剤を製するには,通例,次の方法による.また,適切な方法により腸溶性カプセル剤又は徐放性カプセル剤とすることができる.カプセル基剤に着色剤,保存剤などを加えることができる.

(ⅰ) 硬カプセル剤
硬カプセル剤は,有効成分に賦形剤などの添加剤を加えて混和して均質としたもの,又は適切な方法で粒状若しくは成形物としたものを,カプセルにそのまま又は軽く成形して充塡して製する.

(ⅱ) 軟カプセル剤
軟カプセル剤は,有効成分に添加剤を加えたものを,グリセリン又はD-ソルビトールなどを加えて塑性を増したゼラチンなどの適切なカプセル基剤で,一定の形状に被包成形して製する.

(3) 本剤は,別に規定するもののほか,製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する.

(4) 本剤は,別に規定するもののほか,溶出試験法〈6.10〉又は崩壊試験法〈6.09〉に適合する.

(5) 本剤に用いる容器は,通例,密閉容器とする.製剤の品質に湿気が影響を与える場合は,防湿性の容器を用いるか,又は防湿性の包装を施す.

薬局製剤では
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散剤

(1) 散剤は,経口投与する粉末状の製剤である.

(2) 本剤を製するには,通例,有効成分に賦形剤又はそのほかの添加剤を加えて混和して均質とする.

(3) 本剤の分包品は,別に規定するもののほか,製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する.

(4) 本剤は,別に規定するもののほか,溶出試験法〈6.10〉に適合する.

(5) 本剤に用いる容器は,通例,密閉容器とする.製剤の品質に湿気が影響を与える場合は,防湿性の容器を用いるか,又は防湿性の包装を施す.

リモナーデ剤

(1) リモナーデ剤は,甘味及び酸味のある澄明な液状の経口液剤である.

薬局製剤では

薬局製剤では【 57 】 胃腸薬 9―①【塩酸リモナーデ】のみが該当します。

シロップ剤

(1) シロップ剤は,経口投与する,糖類又は甘味剤を含む粘稠性のある液状又は固形の製剤である.
本剤には,シロップ用剤が含まれる.

(2) 本剤を製するには,通例,白糖,そのほかの糖類若しくは甘味剤の溶液又は単シロップに有効成分を加えて溶解,混和,懸濁又は乳化し,必要に応じて,混液を煮沸した後,熱時ろ過する.

(3) 本剤のうち変質しやすいものは,用時調製する.

(4) 本剤の分包品は,別に規定するもののほか,製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する.

(5) 本剤のうち懸濁した製剤は,別に規定するもののほか,溶出試験法〈6.10〉に適合する.

(6) 本剤に用いる容器は,通例,気密容器とする.製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は,低水蒸気透過性の容器を用いるか,又は低水蒸気透過性の包装を施す.

薬局製剤では

薬局製剤では【 81 】 胃腸薬 33【トウヒシロップ】のみが該当します。

点眼剤

(1) 点眼剤は,結膜嚢などの眼組織に適用する,液状,又は用時溶解若しくは用時懸濁して用いる固形の無菌製剤である.

(2) 本剤を製するには,通例,有効成分に添加剤を加え,溶剤などに溶解若しくは懸濁して一定容量としたもの,又は有効成分に添加剤を加えたものを容器に充塡する.ただし,微生物による汚染に十分に注意し,調製から滅菌までの操作は製剤の組成や貯法を考慮してできるだけ速やかに行う.有効成分の濃度を%で示す場合にはw/v%を意味する.
用時溶解又は用時懸濁して用いる本剤で,その名称に「点眼用」の文字を冠するものには,溶解液又は懸濁用液(以下,「溶解液など」という.)を添付することができる.

(3) 本剤を製するに用いる溶剤,又は本剤に添付された溶解液などは,本剤の使用に際して無害なものでなければならない.
また,本剤の治療効果を妨げるものであってはならない.
溶剤を分けて次の2種類とする.
(ⅰ) 水性溶剤:水性点眼剤の溶剤には,精製水又は適切な水性溶剤を用いる.添付する溶解液には,滅菌精製水又は滅菌した水性溶剤を用いる.
(ⅱ) 非水性溶剤:非水性点眼剤の溶剤には,通例,植物油を用いる.また,そのほかの適切な有機溶剤も非水性溶剤として用いることができる.

(4) 本剤又は本剤に添付された溶解液などには,別に規定するもののほか,着色だけを目的とする物質を加えてはならない.

(5) 本剤には,涙液と等張にするため塩化ナトリウム又はそのほかの添加剤を,また,pHを調節するため酸又はアルカリを加えることができる.

(6) 本剤及び添付された溶解液などは,別に規定するもののほか,無菌試験法〈4.06〉に適合する.

(7) 本剤で多回投与容器に充塡するものは,微生物の発育を阻止するに足りる量の適切な保存剤を加えることができる.

(8) 本剤で水溶液であるもの又は本剤に添付された水性の溶解液などは,別に規定するもののほか,点眼剤の不溶性異物検査法〈6.11〉に適合する.

(9) 本剤及び添付された溶解液などは,別に規定するもののほか,点眼剤の不溶性微粒子試験法〈6.08〉に適合する.

(10) 懸濁性点眼剤中の粒子は,通例,最大粒子径75 μm以下である.

(11) 本剤に用いる容器は,通例,点眼剤の不溶性異物検査法〈6.11〉の試験に支障をきたさない透明性のある気密容器とする.製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は,低水蒸気透過性の容器を用いるか,又は低水蒸気透過性の包装を施す.

薬局製剤では

薬局製剤では【 20 】 眼科用薬 1―①【硫酸亜鉛点眼液】のみが該当します。

坐剤

(1) 坐剤は,直腸内に適用する,体温によって溶融するか,又は水に徐々に溶解若しくは分散することにより有効成分を放出する一定の形状の半固形の製剤である.

(2) 本剤を製するには,通例,有効成分に分散剤,乳化剤などの添加剤を加えて混和して均質としたものを,加熱するなどして液状化させた基剤中に溶解又は均一に分散させ,容器に一定量充塡し,固化・成形する.基剤として,通例,油脂性基剤又は親水性基剤を用いる.

(3) 本剤は,通例,円錘形又は紡錘形である.

(4) 本剤は,別に規定するもののほか,製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する.

(5) 本剤は,適切な放出性を有する.なお,油脂性基剤を用いたものは,有効成分の放出性の評価に代えて溶融性の評価によることができる.溶融性は,別に規定するもののほか,融点測定法〈2.60〉第2法により測定するとき,適切な融解温度を示す.

(6) 本剤に用いる容器は,通例,密閉容器とする.製剤の品質に湿気が影響を与える場合は,防湿性の容器を用いるか,又は防湿性の包装を施す.

外用液剤

(1) 外用液剤は,皮膚(頭皮を含む)又は爪に塗布する液状の製剤である.
本剤には,リニメント剤及びローション剤が含まれる.

(2) 本剤を製するには,通例,有効成分に溶剤,添加剤などを加え,溶解,乳化又は懸濁し,必要に応じて,ろ過する.
本剤のうち,変質しやすいものは,用時調製する.

(3) 本剤の分包品のうち経皮吸収型製剤は,別に規定するもののほか,製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する.

(4) 本剤に用いる容器は,通例,気密容器とする.製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は,低水蒸気透過性の容器を用いるか,又は低水蒸気透過性の包装を施す.

リニメント剤

(1) リニメント剤は,皮膚にすり込んで用いる液状又は泥状の外用液剤である.

ローション剤

(1) ローション剤は,有効成分を水性の液に溶解又は乳化若しくは微細に分散させた外用液剤である.

(2) 本剤を製するには,通例,有効成分,添加剤及び精製水を用いて溶液,懸濁液又は乳濁液として全体を均質とする.

(3) 本剤は,保存中に成分を分離することがあっても,その本質が変化していないときは,用時混和して均質とする.

軟膏剤

(1) 軟膏剤は,皮膚に塗布する,有効成分を基剤に溶解又は分散させた半固形の製剤である.
本剤には,油脂性軟膏剤及び水溶性軟膏剤がある.

(2) 油脂性軟膏剤を製するには,通例,油脂類,ろう類,パラフィンなどの炭化水素類などの油脂性基剤を加温して融解し,有効成分を加え,混和して溶解又は分散させ,全体が均質になるまで混ぜて練り合わせる.
水溶性軟膏剤を製するには,通例,マクロゴールなどの水溶性基剤を加温して融解し,有効成分を加え,全体が均質になるまで混ぜて練り合わせる.
本剤のうち,変質しやすいものは,用時調製する.

(3) 本剤は,皮膚に適用する上で適切な粘性を有する.

(4) 本剤に用いる容器は,通例,気密容器とする.製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は,低水蒸気透過性の容器を用いるか,又は低水蒸気透過性の包装を施す.

クリーム剤

(1) クリーム剤は,皮膚に塗布する,水中油型又は油中水型に乳化した半固形の製剤である.油中水型に乳化した親油性の製剤については油性クリーム剤と称することができる.

(2) 本剤を製するには,通例,ワセリン,高級アルコールなどをそのまま,又は乳化剤などの添加剤を加えて油相とし,別に,精製水をそのまま,又は乳化剤などの添加剤を加えて水相とし,そのいずれかの相に有効成分を加えて,それぞれ加温し,油相及び水相を合わせて全体が均質になるまでかき混ぜて乳化する.
本剤のうち,変質しやすいものは,用時調製する.

(3) 本剤は,皮膚に適用する上で適切な粘性を有する.

(4) 本剤に用いる容器は,通例,気密容器とする.製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は,低水蒸気透過性の容器を用いるか,又は低水蒸気透過性の包装を施す.

丸剤

(1) 丸剤は,経口投与する球状の製剤である.

(2) 本剤を製するには,通例,有効成分に賦形剤,結合剤,崩壊剤又はそのほか適切な添加剤を加えて混和して均質とした後,適切な方法で球状に成形する.また,適切な方法により,コーティングを施すことができる.

(3) 本剤は,別に規定するもののほか,崩壊試験法〈6.09〉に適合する.

(4) 本剤に用いる容器は,通例,密閉容器又は気密容器とする.

酒精剤

(1) 酒精剤は,通例,揮発性の有効成分をエタノール又はエタノールと水の混液に溶解して製した液状の製剤である.

(2) 本剤は,火気を避けて保存する.

(3) 本剤に用いる容器は,気密容器とする.

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